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株式会社十勝eスポーツ教育センター

大橋 紘一郎さん

#31「eスポーツを軸とした次世代型の教育と学生の挑戦をサポートする拠点“十勝eスポーツ教育センター”」

今回は、eスポーツと教育を掛け合わせた新たな教育スタイルを実践し、帯広の中心市街地にeスポーツを入り口とした学生や若者のチャレンジを応援する十勝eスポーツ教育センターを運営する大橋さんにお話を伺いました!

株式会社十勝eスポーツ教育センター 大橋 紘一郎さん

プロフィール
大橋 紘一郎さん(おおはし こういちろう) 代表取締役

本別町出身。帯広畜産大学在学時に家庭教師事業で起業。また、家庭教師と並行してNPO法人すきっぷにて、生活困窮者支援事業や子供の居場所づくりに取り組む。2015年からは星槎国際高等学校帯広学習センターの教員として勤務する傍ら、2022年9月に株式会社十勝eスポーツ教育センターを設立し、代表取締役に就任。
“「eスポーツ」と教育を掛け合わせた独自の教育スタイル”

「eスポーツ」と教育を掛け合わせた独自の教育スタイル


―――現在大橋さんが教員を務められている星槎国際高校では、授業にeスポーツが取り入れられていますが、そのようになった背景について教えて下さい。

(大橋さん)私が家庭教師事業をメインとしていた頃は、星槎国際高校の授業を週に1回担当していたのですが、「そろそろ毎日来てよ」といっていただいて、そのタイミングにセンター長の松山さんから、子どもたちのために新しい授業を作りたいと相談されたのがきっかけです。私は学生の頃から帯広畜産大学や藤丸でゲーム大会を企画したり、ゲーム大会をやりたい人の企画や運営のサポートをやっていました。これを授業に取り入れたら、家だけでゲームをしている子どもたちが、少しでも外に出て人と仲良くなって世界がひらけるのではないかという考えeスポーツを授業に取り入れることにしました。

―――eスポーツを教育に取り入れる際、大橋さんのオリジナルで授業内容を組み立てていったとのことですが、eスポーツと教育を掛け合わせる際、意識していることはありますか?

(大橋さん)大前提として私の考える教育は、例えば数学を教える時もただ数学を教えるのではなく、それを通して生徒に何を伝えていくかが大切だと考えています。その何かというのは、教える側の先生の生き方や考え方などだと思います。その先生がこれまでどのような考え方で生きてきて、これからどうしていきたいのか、人生の楽しみや喜びは何かなど、授業を通して先生のパーソナルな部分を教えることが教育の本質であると私は考えています。
なので、私はただeスポーツを教えるのではなく、eスポーツを通して自分の生き方や考え方、社会との関わり方などを生徒に伝えていくことを特に意識しています。
あと少し専門的な話もいたしますと、文部科学省が推進するアクティブ・ラーニングへのアプローチの方法の一つであるPBL型授業というものに分類されます。PBLを訳すと「問題解決学習」「問題解決型学習」「問題基盤学習」となります。体系としてある程度歴史ある手法にeスポーツや私のパーソナルな部分を組み込んで作り込んでいます。

―――屋外でもeスポーツの授業を行ったことがあると聞きました。具体的にどのような授業を行っているのか教えてください。

(大橋さん)私がeスポーツの授業を始めて4年が経過した頃、自分の中である程度eスポーツ授業の完成形が見えてきました。ですが、完成したeスポーツ授業を5年目も繰り返すのではなく、新たな形でeスポーツ授業を創生したいと考え、それまで1つだったeスポーツの授業を5つにしました。そして生まれた一つがアドベンチャー×eスポーツの「eスポーツアドベンチャーゼミ」でした。この授業は、外でeスポーツをするという一つのルールで成り立っています。だから、雨の日もテントを張って屋外で行います。例えば緑ヶ丘公園で授業をするとしたら、eスポーツをやるためには欠かせない電源やWi-Fiが一切ないわけです。そんな環境下で生徒たちは大好きなeスポーツをどのようにしてやるかを試行錯誤します。そうしているうちに、野外でもできるゲームイベントを企画する生徒が現れました。例えば、QRコードを印刷した紙を公園のどこかに隠して、それを見つけた生徒はスマホでQRコードを読み取り、出てきた景品をもらえるというゲームです。この企画が面白かった生徒たちは、次は私が、俺が企画をするぞと、主体的に考えて実践を繰り返していきます。これがまさにeスポーツをきっかけにした学習になっています。


学生のチャレンジを応援する場「十勝eスポーツ教育センター」


―――2022年11月にオープンした十勝eスポーツ教育センターは生徒たちと一緒に作り上げていったと聞いていますが、具体的にどのようにしてこの施設を作っていったのでしょうか?

(大橋さん)まず、この施設のデザインイメージは生徒達が考えました。そして、どのような机や椅子が良いかなどは生徒が自分たちでネットや近くの家具店を活用しながら調べて、購入したいものを私に提案し、私が値段やコスパなどをチェックして必要なものを購入していきました。壁紙や床の敷設、eスポーツ施設には欠かせないゲーミングパソコンも生徒が組み立てをしています。このような感じで、このセンターは生徒達と一緒に作っていきました。自分たちが行きたくなる施設を生徒たち自らが作ったわけです。



―――大橋さんは今後この施設をどのような場所にしていきたいと考えていますか?

(大橋さん)一言で言うと”生徒や若者を応援する場所”にしていきたいです。このセンターはeスポーツを教えるためだけの場所ではありません。ここに通っている生徒たちが何をやりたいかが大切です。そもそもなぜこのセンターがeスポーツ教育センターなのかと言うと、それは単純でeスポーツを好きな学生が多いからです。eスポーツやゲームをきっかけに人が出会って、やりたいこと好きなことを通して学んで、新しいものを作り上げていく場所です。だから極端な話、ここに来てもeスポーツをやらなくても問題はありません。例えると、サッカーが好きな人が、スタジアムを建設したいなぁと思って、建築士の勉強をし始めるようなことが、ここでは毎日起こっているからです。eスポーツをきっかけとして始まることが想定される大体を学べる環境が、ここにはそろっています。
学生の頃は、やりたいことがあっても自分一人で全てできるわけではないので、まず行動する前に周りの人を説得するところから始まるんですよね。ですが、高校生にできることも限られていますし、なかなか周りから受け入れてもらえず、やりたいことを諦めてしまうことも多いと思います。私はそんな生徒の話を一旦全て聞いて、その生徒に足りないものをアドバイスしながら、少しでもやりたいことの実現に近づいていけるように応援したいです。私はこのセンターを生徒がやりたいことを見つけた時に当たり前のように応援してもらえる場所、手伝ってもらえる場所にしていきたいと考えています。共感、理解、「一緒にやろう」の精神がこの施設の軸です。これは星槎の理念とも近いですね。


教育者としての想いと経営者としての覚悟


―――大橋さんは十勝eスポーツ教育センターの立ち上げに伴い、新たに株式会社を設立され、教育者としての立場もありながら経営者になられましたが、何か変化はありましたか?

(大橋さん)このセンターを立ち上げたことで、たくさんの生徒や若者がここを出入りするようになり、今日も授業は休みなのにも関わらず、たくさんの生徒が来てくれています。それだけこの場所がたくさんの人から求められているのだと実感します。それに有難いことに私のことを慕ってくれる人もいるので、今後この場所を継続していくためにも経営者としてもっと学んでいかないといけないと思いますし、改めて自分の立場と責任感を感じています。本来私は諸葛亮孔明のような参謀ポジションが好きなのですが、今は劉備となって自ら旗を振っていかなければならないと考えています。
大抵のことはこれまで蓄積してきた経験でどうにかなるのですが、私にとって法人経営は今まで経験してこなかった新しい分野ですので、そこに挑戦していくことに対して身が引き締まる思いです。また、センターを運営していく上で、どうしても教育者としての教育的な視点が先行してしまうのですが、このセンターをより良くしていくために、そして今後も継続していくために、経営者としての経営的な視点もきちんと持っていかなくてはならないと感じています。

―――最後に今後の展望などがありましたら教えてください。

(大橋さん)十勝の教育って最高だよね!と自信を持って言えるような十勝にしていきたいです。私が所属している星槎国際高校でもeスポーツ部の普及活動などを積極的に行ったりしていますが、星槎だけが良くなってもダメだと思っています。なので、十勝管内の他の学校とも連携して十勝全体で良い教育環境を作っていきたいと思っています。
また、この十勝にはたくさんのチャンスが眠っていると思います。これだけ広大な土地もありますし、チャレンジする時に支えてくれる環境も整っています。だからこそ、私も学生が何かに挑戦したい時に応援できるような環境づくりやこの十勝で新たなものを作り、そこで学生が挑戦できるような取り組みをしていきたいです。

大橋さんの言葉からは、教育者として生徒達のことを本気で考え、応援していきたいという強い想いと、経営者としてこの施設をより良い場所にしていきたいという強い覚悟がひしひしと伝わってきました。また、生徒達の自己実現に向けたサポートを行うと同時に、まちづくりや地域にも貢献していこうという姿勢が非常に頼もしく感じられました。
取材当日もたくさんの学生が出入りしていた、十勝eスポーツ教育センターの今後の取り組みに期待したいと思います。
これからもLANDは大橋さんの活動を応援しています。

LINK

十勝eスポーツ教育センター
十勝eスポーツ教育センターYouTubeチャンネル

協力

帯広市経済部経済企画課、フードバレーとかち推進協議会


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