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はら農場

原 大知さん

#35「地域の特産品を未来に残していくために、社会の変化に合わせたスタイルでそばを作る『はら農場』」

十勝の事業創発につながる企業の取り組みを、LANDスタッフが取材し掲載する「LANDSCAPE」!

今回は、十勝の「そばどころ」 新得町でそばの生産から製品開発、販売を行う「はら農場」の原さんにお話を伺いました!

はら農場 原 大知さん

プロフィール
原 大知さん(はら だいち) 代表

北海道新得町で「はら農場」を営むそば農家。本州からUターンし、2012年から農薬や化学肥料を使わない自然栽培に取り組んでおり、冷涼な気候を活かした高品質なそばを作る。
そばの実を使った発泡酒「SOBACO(ソバコ)」も開発し、商品を通じて地域のそば文化を発信している。全国そば優良生産表彰で農水省農産局長賞を受賞するなど、その努力と技術が高く評価されている。

そばを通じて新得町の魅力を伝えたい!生産から商品開発、販売まで行う「はら農場」


――はら農場さんはそば生産を専業としているそうですが、どのような体制でどれくらいの規模を管理しているのでしょうか?

(原さん)はら農場は11年目になるそば農家です。そばの面積は14ヘクタールで、これは全国平均の3~4倍の広さです。有機的な育て方にこだわっており、そば専業でやっている農家はそばどころである新得町でも珍しいんですよ。農場は私一人で管理しています。

――有機的な栽培では除草剤も限定されますが、14ヘクタールもの畑の除草などの管理を一人で行うことは可能なんですか?

(原さん)実はそばはかなり育てやすい作物なんです。大抵の雑草よりも草丈が高くなるため、雑草よりも高い位置に葉を広げることができれば光合成で負けることがありません。なので、ほかの作物よりも手間が少なく一人でも十分管理できるんです。はら農場では、なるべく有機的な栽培方法にこだわっているので、隣町(清水町)の養鶏場から鶏糞を購入して肥料にしています。いい土がいい作物を作ることを理念に、クローバーなども畑に導入して多様性を確保しています。

畑に入りながら育て方の説明をしてくれる原さん



――そば生産だけでなく加工、販売も行っているそうですが、どんな商品を製造していますか?

(原さん)そばの収穫後、長野や出雲にある製粉工場で製粉したり、OEMで乾麺の「原氣蕎麦(げんきそば)」や、電子レンジで手軽に作ることができる加工品などを製造したものをECサイトや北海道内の一部店舗で販売しています。新得町ではそば発泡酒「SOBACO(ソバコ)」も販売しています。

原さんが製造販売している「原氣蕎麦(げんきそば)


――そばの発泡酒はかなり珍しいと思うんですが…?

(原さん)そばを原料としたビールは日本ではあまり見ませんが、ヨーロッパではメジャーです。海外でそばって食べられているのかと以外に思われるかもしれませんが、韃靼そばの韃靼という言葉は「タタール」からきており東ヨーロッパ・モンゴル・ロシアなどで暮らすタタール人は古くからそばを食べていたんですね。ガレットという料理もあるように、そばは日本だけでなく世界各地で食されてきました。
私がそば発泡酒の開発に踏み出したのも、そばの加工品について調べるうちにフランスなどのヨーロッパではそばを原料としたウイスキーやビールを飲む文化があると分かったからです。そこから着想を得て大雪地ビールさんに掛け合い製品化するに至りました。


――電子レンジで作れるそばも非常にユニークですよね

(原さん)これは私がオリジナルというわけではないのですが、中国産のそばで同様の商品が売られているのを見つけて、はら農場のそばを使って国産の製品を生み出したいと思い作りました。割と人気があって、展示会などのイベント販売や帯広駅の物産コーナーなどで販売したところご好評いただいています。

食の安全に対する関心から新規就農。もっとそばを身近に感じてもらうことを目指して。


――そもそも、原さんはなぜそば農家を始められたんですか?

(原さん)実は実家がもともと新得で農業をしていたのですが、父の代で離農しました。なので、自分は福祉系の大学を出た後、本州で障がい者雇用に積極的な食品会社に就職して、関東で生活していました。ですが、東日本大震災をきっかけに、食の安全性に強い関心が生まれ、安心安全な食料を自分で作りたいと思うようになり、新得町にUターンしたんです。
実家は既に離農していたので、はじめは町の新規就農制度を活用し、農業のやり方を一から学びました。独立して4年目までは農協に収穫物を出荷していたのですが、初年度から自分で加工品の製造・販売に取り組み始め一定の売り上げが出ていたことと、こだわって育てたそばを自社のブランドとして展開していきたいと考え4年目以降からは全て自分で販売しています。

――そうだったんですね。原さんは自社EC等の販売以外に、他社と連携して食の展示会やイベントなどにも積極的に出展されてますよね?
(原さん)はい、よくクラフトキッチンの齊藤さんと一緒にイベント出展することが多いですね。(十勝Z団齊藤さんインタビューへのリンク)これは、こだわって作っているはら農場の商品を多くの人に知ってもらいたいという思いでやっています。また、いろんな方と一緒にビジネスをしていると自分だけでは思いつかないようなアイデアに繋がります。クラフトキッチンの齊藤さんには、はら農場のそばに合うアジアンテイストな七味唐辛子を開発してもらいました。
展示会やイベントの出展を通じて私の商品を知ってもらうことで、皆さんにもっとそばを食べてほしいと思っています。そばは、麵としての食べ方だけでなく、そば粉、そばの実、蕎麦湯など様々な食べ方、使い方ができる作物です。願わくば、そば粉としての消費が増えて欲しいです。私もイベント出展などでは麵としてのそばでなく、そば粉を使った「ガレット」や「そばがき」などで出展することが多いです。家庭でもできるそば粉を使った料理を身近に感じてもらえればと思っています。

イベント出展の様子



地域の特産品を未来に残していくために、社会の変化に合わせた農場づくり。


――原さんが今後、目標としていることはなんですか?

(原さん)私の作るそばを通じて、もっと新得のことを知ってもらえたらいいなと思っています。新得はかつて十勝西部の交通の要所として今よりもずっと栄えていたので、警察署もありますし、JRの特急も停車します。飛行機の発着ができる農道空港もあるんです。スキーやラフティングなどのアウトドアができる恵まれた自然環境や、梅やそばといった特産品もあります。魅力がいっぱいの土地なので、ぜひそばを通じて新得という町に興味を持ってほしいと思います。
 また、私個人の目標としているのは、品質を下げず、どれだけ農作業の省力化ができるかというところです。昨年はイベントに多く出ていたため畑の管理がなかなか追いつかず、今年は例年よりも雑草が増えてしまいました。今年は少し畑にリソースを割いていこうと思っていますが。できるだけ作業を少なくして質が高いものを作っていきたいと思っています。
 これから全国的に高齢化が進み、生産人口が減っていくので、北海道・十勝でも労働力確保の問題で続けられる生産者とそうではない生産者に分かれてくると思います。そして、人がいないからできない農業ばかりになると農業人口が減ってしまい食の安全にもつながってくると思います。なので、私は一人でもできる自分の農業スタイルを確立して、これからそば農家を始めたい人に一人でもできる技術を共有できるようになっていきたいと考えています。その結果として新得がいつまでも「そばどころ」でいられるように、尽力していきたいです。



栽培したそばを通じて地域の魅力を発信していきたいと語る原さん。地域の特産品を未来に残していくために、社会の変化に合わせた持続可能な経営体制を構築していくことや、異なるプレーヤーとの繋がりによる新たな挑戦は農業に限らず必要になっていくものと感じました。

LANDも原さんの活動を応援していきます!

LINK

はら農場Facebookページ


協力

帯広市経済部経済企画課、フードバレーとかち推進協議会


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